不妊の原因ともなる子宮腺筋症。
女性にとってとても恐ろしい病気の一つだと思います。
今回はそんな子宮腺筋症と診断されたアナタへ、妊娠に関する正しい知識と、希望を持っていただくために記事を書きたいと思います。
子宮腺筋症とは?
子宮内膜は、胎児にとってのベッドのようなもの。
正常であれば、子宮の中にできるはずのこの内膜が、子宮ではない部分にできてしまう場合があります。
このうち子宮筋内でできてしまうものを子宮腺筋症と言います。
月経時の疼痛や過多、不妊などを引き起こす病気です。
子宮腺筋症における妊娠率・流産率
日本産婦人科学会より発表されている子宮腺筋症患者における妊娠率・流産率に関する研究データを表にしました。
全体 | 先行治療の有無と種類 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
子宮腺筋症 | びまん性型 | 妊娠率 | 42.9% | 先行治療なし | 妊娠率 | 43.8% |
流産率 | 32.4% | |||||
薬物療法 | 妊娠率 | 42.9% | ||||
流産率 | 33.1% | 流産率 | 37.0% | |||
手術療法 | 妊娠率 | 39.3% | ||||
流産率 | 32.3% | |||||
腫瘤形成型 | 妊娠率 | 43.2% | 先行治療なし | 妊娠率 | 43.0% | |
流産率 | 29.1% | |||||
薬物療法 | 妊娠率 | 48.0% | ||||
流産率 | 24.7% | 流産率 | 15.4% | |||
手術療法 | 妊娠率 | 39.1% | ||||
流産率 | 0.0% |
子宮腺筋症には、主に正常子宮内膜と腺筋症部が不明瞭な状態のものを「びまん性型」、明瞭となっているものを「腫瘤形成型」の2種類があります。
この表から見る限り、両病態において、妊娠率は約43%という結果になっております。
つまり妊娠自体はできる可能性も十分あります。
しかしながら、流産率に関しては、腫瘤形成型で24.7%、びまん性型で33.1%という結果になったそうです。
特筆すべき点として、腫瘤形成型の場合で、妊娠前に手術療法を行った場合は流産率が0%となっていることです。
あくまで確率論ですので、”絶対流産しない!”というわけではありませんが、有意に差があるデータであると考えられます。
なお、霞ヶ浦医療センターでは、子宮腺筋症に大変力を入れておられるらしく、実際治療を受けた方の体験記も公表されています。
メスで腺筋症部を切除するわけではなく、高周波による病巣のみの手術のようで、予後も比較的良いそうです。
子宮腺筋症で出産された方々の声
アナタの不安が少しでも和らぐよう、子宮腺筋症で出産された方のコメントが読めるページのリンクを貼っておきます。
予後
なお、この子宮腺筋症は、命にかかわるような病気ではありません。
子宮腺筋症がガン化したという報告も無いようで、ガンのリスクファクターとしても考えられていません。
また、症状も人によっては痛みをほとんど感じない方もいらっしゃるそうです。
その場合、放っておいても問題ない場合もあります。
いずれ閉経に伴い、自ずと解消されていきます。
しかしながら、やはり”妊娠”に対して不利に働いてしまうことから、若いころから重い月経痛に悩んでいた方は、できる限り早く診察を受け、適切な処置をすべきと考えます。
まとめ
今回は子宮腺筋症でも妊娠ができる、ということをテーマに情報をまとめさせていただきました。
この病気、子宮の痛みだけでなく、妊娠可否の不安感や夫や両親からのプレッシャー(責任感)など、様々な要因で苦しまれるかと思います。
そんなアナタへ、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。