腎盂腎炎の治療期間と安静期間はどれくらい?どうやって過ごせばいいの?

「腎盂腎炎」という病気の治療について、どのようなイメージを持っていますか?

「腎盂腎炎」(じんうじんえん)という病気になってしまった、この先どうなるのだろうか…?

家族が「腎盂腎炎」になってしまった、どう接すればよいのだろうか…?

この病気は、子どもから大人、女性にも男性にもあり得る病気です。

簡単に言うと、腎臓自体に炎症が起きることです。

そしてその炎症は自然には起きず、細菌感染によって起き、重症化すると血液を介して全身の炎症、命の危険へと拡がる可能性があります。

軽症なうちに放置したり、重症化したら…と怖い想像をして治療に集中できなかったりする事態は避けたいものです。

そこで今回は、腎盂腎炎の治療や過ごし方、治療する家族への支援についてご紹介します。

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腎盂腎炎の原因・症状とは?どのような検査をするの?

腎盂腎炎の特徴について【原因】【症状】【検査】に分けておさえていきましょう。

腎盂腎炎の原因・特徴

  • 細菌感染(特に大腸菌)による腎臓の炎症
  • 膀胱炎に続いて起きるなど、尿の出口から腎臓に向かって細菌が入って起きる
  • 片方のみに起きる場合がほとんど
  • 尿道の短い女性に起こりやすい
  • 尿道の通過障害(前立腺肥大症、尿路結石、妊娠)や糖尿病の基礎疾患があると起こりやすい
  • 尿道カテーテル留置中でも起こるときがある

原因は様々ありますが、免疫が落ちているときや膀胱炎を患っているときにかかるのが腎盂腎炎です。

感染した汚い尿を外に出しきれず、体の中にためこんで、炎症を悪化させている、そのような状態なのです。

腎盂腎炎の症状

代表的なものは、以下のものが挙げられます。

  • 高熱
  • 腰背部痛
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感

これらに以外にも、自覚症状が少ない膀胱炎もありますが、尿が出し切れない、出すときに痛む場合には、膀胱炎もしくは腎盂腎炎となっている可能性があります。

腎盂腎炎の検査

それほど苦痛な検査は少ないかと思われます。

血液検査と尿検査は必須です。

なぜなら、血液検査で重症度が判断できますし、尿培養検査は、原因となる菌を探し出し、抗菌剤の種類を検討するために必要だからです。

また、超音波検査(エコー)などで、尿の通り道がふさがっているかなどの確認をしていきます。

腎盂腎炎の治療はどのようなもの?

治療内容や期間は、経験したことのない方にとっては未知の世界で不安は高まると思います。

まずは、治療内容からおさえていきましょう。

抗菌剤の投薬治療と、場合によってはドレナージ法を行います。

抗菌薬の投与治療

14日間の投与が基準です。

投薬方法は、重症度が高い(=内服が困難であったり、脱水があり全身状態が悪い)場合、点滴から開始します。

点滴から開始した場合の内服への切り替えは痛みや発熱が軽減してから24時間後から、となります。

ドレナージ法

以下の場合に適応となります。

  • 結石によって汚れた尿が体の外に出る見込みがない場合
  • 抗菌剤の効果がない場合

そして、ドレナージ法はどこで尿が停滞しているかによって方法が異なります。

方法によっては、お腹や腰に穴をあけて管を差し込み、外へ出す場合もあります。

しかし、ほとんど一時的なものなので、炎症が軽減されていることが確認できれば、管は取り除き、元の生活が可能となります。




どうやって過ごせば良いの?

次に、治療期間中の過ごし方です。

症状が発症してからすぐの時期には、ベッド上安静が望ましいです。

腎盂腎炎は治療を開始しても解熱するには2−3日を要することが多いです。

そのため、容易に脱水になり悪化しやすく、水分や食事がとれない場合、入院して点滴で水分を補いながら治療する方が好ましいです。

入院は環境が変わり、慣れていないためにストレスなものですよね。

しかし、具合が悪い時にすぐに対応を求められるのは大きなメリットです。

勿論、軽症か中等度と診断された場合、外来治療も可能と選択肢にあがります。

外来で治療するメリットとして、慣れた環境で過ごすことができて、治療中のストレスも少なくて済むことがあげられます。

そのような場合には、以下のことに注意して生活をするとよいでしょう。

  • 食事、トイレ以外はなるべく動かず、よく休む
  • シャワートイレなどで陰部を清潔にする
  • 水分の摂取(1日1.5~2L)を心掛け、尿の量を増やす
  • トイレを我慢せずにどんどん尿を出す
  • トイレットペーパーを使用する際は、前方から後方に向かって拭く
  • 処方された抗菌剤は症状が治まってもしっかり飲み切る

キーワードは「よく休むこと」「汚いものを外に出すこと」です。

これらのことに気を付けていても、悪化はあり得ます。

病院から帰った後に想像以上に水分や食事がとれない時には、入院治療に切り替えたいと病院へ依頼することが大切です。

家族の腎盂腎炎の治療にはどう接したらいいの?

家族…と一言で言っても、自分にとって親なのか、子どもなのか配偶者なのか、年齢も様々です。

しかし、統一して絶対的に言えることは、どんな人でもきちんと休むこと。

掃除、洗濯、料理、子の世話をしなくてはいけない…

「しなくてはいけない」ことはない、自分の体を整えるのが一番の仕事、ということを家族が伝えてあげてください。

特にこの腎盂腎炎、先にも述べましたが、簡単に重症化しやすいです。

子育て中のママであれば、夫や親が、行政機関を使ってでも、家事や育児から切り離してあげてください。

親の介護中の方であれば、介護サービスや短期入所施設を使用するなどし、介護と家事を避けてください。

遠方にいる単身赴任の夫や一人ぐらい中の子が罹ったのであれば、その一人ぐらし先に行ってお世話をするか、もしくは、どんなに軽症でも病院が受け入れてくれるなら、入院をすすめてください。

入院でも外来治療でも、しっかり体を休めて、体の悪いものを外に出すことが大切です。




まとめ

腎盂腎炎は治ります

治りますが、そのためには周りがサポートして治療に専念できる環境を作ってあげることが大切なのです。

自分の体を過信せず、2週間の治療をきっちり完了することが大切です。

病気になって不安なことが多くなるかと思いますが、周りの人、病院に頼って、しっかり治して、今後の再発も防ぐ生活を心がけましょう!