飛行機に乗ると現れる耳の激痛。
頭が割れるかもしれない、眼球が飛び出るかもしれない、本当に冗談ではなくそう考えてしまうくらい辛いものです。
今回のこの記事では、激痛の原因及び治る原理から解消法や予防法を紹介します。
痛む原因
耳の構造
原因を考えるにあたり、まず耳の構造を説明します。
耳は、大きく3つのパーツに分かれています。
外耳、中耳、内耳。
出典ヒヤリングストア様
簡単に機能を説明すると
外耳:外部の音を耳介(いわゆる耳)の構造を利用して集約し鼓膜に取り込む
中耳:鼓膜に届いた振動を、増幅させて内耳に届ける
内耳:内耳に届いた音を脳や神経に伝える
このうち、中耳の中には鼓室という空間があり音を伝達させるために空気が入っています。
大気圧と気圧の変化
通常我々が生活している地上では、1気圧という大気圧が常に体を圧迫しています。
ただ、圧迫されてしまうだけだと潰れてしまいます。
そこで、体が無意識に1気圧の力で外側へも押し返してくれています。
その為、平衡状態(バランスが取れた状態)が保たれており、自然に生活できるのです。
この気圧、高度によりかかる力が変わってきて、上空に上がると気圧が低くなるのです。
体内の中からは1気圧で外に押し出しているのに、外の大気圧が下がってしまう。
そうなると相対的に体の中から外への圧力が大きくなってしまうという現象が起こります。
皆さんは飛行機に乗ってポテチの袋がパンパンに膨れ上がったのを見たことはありますでしょうか?
あれは、1気圧の中で製造されたポテチが包装されると、袋の中は1気圧になります。
それを上空に持っていくことで、袋の中の1気圧と、袋の外の低下した大気圧のバランスが崩れ、膨らむという原理になります。
地上:袋の中の気圧 = 袋の外の気圧 (普通の状態)
上空:袋の中の気圧 > 袋の外の気圧 (中の気圧が高いため、袋がパンパン)
気圧変化と中耳
中耳には、鼓室という空間があり、空気が入っていると説明しました。
ポテチの袋と同様、この鼓室も上空に上がることで膨れ上がり、耳内部や頭部を圧迫することになります。
これが痛みの原因となるわけです。
治る原理
中耳には耳管というものがついており、それは鼻に繋がっています。
普段この耳管は細く締まって閉じている状態になっています。
が、この耳管を拡げることで空気の通り道が出来、膨れ上がった鼓室から空気が逃げることが出来ます。
それにより耳内部や頭部の圧迫感から来る痛みが解消されることになります。
ちなみにこの耳管を拡げて空気を抜く行為、皆さんよく耳にする「耳抜き」と呼ばれる物です。
しかしながら、例えば鼻が詰まっている状態の場合、鼻で空気の道が遮断されてしまっています。
その為耳抜きを行って耳管を拡げたとしても、空気を逃がすことが出来ません。
その結果、鼓室が膨れ上がったままの状態になります。
ですので、鼻づまりの状態では、耳の痛みはとてもつらいものとなります。
簡単に出来る耳抜きの方法
メジャーなものとして3つがあります。
鼻をつまんで空気をだそうとする
指で鼻をつまみ、鼻をかむような感覚で鼻から空気を出そうとします。
当然つまんでいる為、空気は外に出ません。
その代り耳管の方に空気が流れ耳管が開きます。
これは無理やり力を入れて行っているので、あまり強くやりすぎたり頻繁にやりすぎたりすると、鼓膜を傷つける可能性もあります。
顎を動かす
顎をダイナミックに動かすことで、耳管が色々な方向に引っ張られ、ある拍子に時間が開くことがあります。
唾を飲みこむ
何かを飲み込む行為を行うと、鼻腔内と同時に耳管が開きます。
これにより耳抜きが出来ます。
耳抜きが苦手な方へ
よく、「耳抜きが苦手」「耳抜きが出来ない」と仰られる方がいます。
でも人間は通常生きていく中で、自然と耳抜きをしているという事実があります。
人間は一般的に気付かないうちに1分間に数回はちょっとした耳抜きをしているそうです。
そういった意味で「耳抜きが出来ない」という人は存在しないのです。
もし、耳抜きが苦手という考えを持たれている方は、飛行機等乗る時に”痛くなる前”の段階から意識的に耳抜きをしてみましょう。
大丈夫、人は皆耳抜きが出来るはずなのです。
安心して実行してみてください。
それでも耳抜きが出来ないという方は、以下のような要因で耳管に異常(腫れ、むくみ)などがある状態であることが考えられます。
・飲酒、喫煙等の理由で耳管がむくんでいる
・風邪やアレルギーなどで耳管が腫れている
・睡眠不足で耳管が腫れている
・鼻炎で鼻が詰まっていて、耳抜きは出来ているんだけど鼻で空気が止まっている
こういった症状を前日から取り除くように工夫することで耳抜きは自然とできるようになります。
まとめ
今回は、飛行機に乗ると現れる耳の激痛について、その原因から治る原理や解消法などについて説明しました。
この症状は本当に辛いもので、飛行機に乗るのが嫌になってしまうほど。
是非、この記事を参考に、快適な空の旅をお過ごしください。