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皆さんは”セルフメディケーション税制”という制度をご存知でしょうか?
今回はこの制度について、具体例も出しながら説明していきたいと思います。
国が提供する嬉しい制度を正しく理解し、お得に健康を追求していきましょう。
セルフメディケーション税制とは
まずはセルフメディケーション税制についてご存じない方に、制度の概要をご説明します。
税制の成り立ち
社会保障
憲法では”社会保障”という言葉が定義されています。
国民が健康で文化的な最低限の生活を、みんな平等に送ることができるようにと、様々なサポートを行うこと。
それが社会保障というものになります。
今回の記事で具体的にかかわってくるのは、その中でも給付金という部分。
給付金とは、大きく分けると以下の3つがあります。
- 年金
- 医療費
- 介護・福祉費
では実際これらの給付金、どの程度国の予算から出されているのでしょうか?
2015年度のデータとしては、年金は54兆9千億円、医療費は37兆7千億円、介護・福祉費としては22兆2千億円。
なんとトータル114兆8千億円ものお金が給付金として様々な部分で国民のサポートをしています。
そのお金どこからくるの?
これらのお金、ご存知の通り我々が普段支払っている税金から、支払われることになります。
ここで、給付金の推移と世代別人口推移のグラフを見てみましょう。
ここから主にわかることは、
- 給付金はどんどん増加現象にある(多分今後もこの勢いで増えていくであろう)
- 税金を納める世代(右図のオレンジ)が将来的に減っていく
- 高齢者が増えていく(国民の4人に1人が高齢者の割合)
ということです。
つまり、税金を納める世代は減るのに、給付金はどんどん増えていくことになる、という事態が起こっています。
なぜこの制度が必要になったの?
上記の通り、近い将来受給者に対する必要な税金が十分に確保することが難しい状況となっていくことが目に見えています。
そこで、政府は考えました。
「国民が給付金を受け取る機会を減らすことはできないか?」
これにより必要になったのが、セルフメディケーション税制というものです。
対象となるもの
医薬品には大きく分けて、以下の2つがあります。
- 病院で処方してもらうことで入手できる医療用医薬品
- ドラッグストア等で自分の意志で購入することができる一般用医薬品(いわゆるOTC薬と呼ばれるもの)
今回の対象となるのは、後者の一般用医薬品になります。
更にこの一般用医薬品の中にも、1類から3類まで、その効果の強さやリスクなどから3つに分類されています。
このうち1類(最も強い)の中には、”以前は医療用だったけど、一般用にスイッチしたもの”というのが存在します。
長年の使用実績等で、国に安全と認められたものたちですね。
これらの医薬品のことを、特に「スイッチOTC」なんて読んだりします。
今回の制度の対象となるのは、このスイッチOTCです。
で、結局なに?
このスイッチOTCを、1年のうちに一定金額以上購入した場合、その金額に応じて年間総所得金額等から控除されることになります。
つまり所得税で引かれるはずの部分が、これによって一部引かれずに済むわけですね。
具体的には、年間のスイッチOTC購入額が、1万2千円を超えると、超えた分だけ控除となります。
(例えば2万円分購入したとしたら8千円が対象)
なお上限は10万円購入時の8万8千円だそうです。
これ以上は、金額が上がっても8万8千円分の控除しか受けられません。
制度の受け方
制度と控除の内容はわかった、では実際どうすれば良いのか?
次にこれを説明したいと思います。
レシートの見本
ドラッグストアや薬局で、スイッチOTCを購入した際には以下のようなレシートをもらいます。
(出典:日本一般用医薬品連合会様)
左のレシートは、薬局で薬を買ったときに通常もらうレシートに近いと思います。
レシートをよく見ると、★印がついている商品がいくつかありますね。
で、レシート下部に、「★印はセルフメディケーション税制対象商品です」と書かれています。
つまりこの★印の商品の総額が年間1万2千円を超えると、控除が受けられるということになります。
※お店によっては印が★ではない場合があります。
なお、①から⑤まで数字が降ってあるものは、この制度を受ける際のレシート(領収証)に求められる記載必須事項になります。
こちらはお店の方で責任もって書いてくれるの、我々が気にすることではありませんが、興味のおありの方は一度よく見てみても面白いでしょう。
- 商品名
- 金額
- 当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
- 販売店名
- 購入日
右図では、手書きの領収証のパターンです。
基本は同じで、上記5つの項目が記載されていれば、手書きでもOKです。
集めたレシートはどうするの?
1年間集めたレシートは、毎年2月~3月でくる確定申告の時期に、確定申告とともに提出することで、この制度を受けることができます。
スイッチOTC一覧
最後に今現在存在するスイッチOTC商品を紹介しておきます。
以下は厚生労働省が出している平成29年11月16日付の一覧となります。
今のところ成分としては83成分、商品としてはかなり膨大な数に上ります。
まとめ
今回はセルフメディケーション税制について説明しました。
国が、日本の将来を見据えて、自己管理を進めている。
言ってしまえば「すぐに病院に行って国の医療費を使うのではなく、まずは自分で何とかしてなるべく予算を使わないでね」という制度とも言えます。
ただしこれは、つまり我々国民の将来の負担(税金増)を少なくする試みです。
制度を正しく理解し、今も未来もお得に健康生活をしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。