アニサキス、それは食べ物と一緒に我々の体内に入り、体の内側から害を与えてくる恐ろしい寄生虫です。
↓こんなの。
このアニサキスに、正露丸が効果的という情報がありますので、今回はそれについて確かめていきたいと思います。
アニサキスとは?
概要
アニサキスは通常、海洋ほ乳類(クジラなど)の体内に生息しています。
そこで成虫となり、産卵をし、フンと共に海中へと卵が拡散されます。
この拡散した卵をオキアミ(プランクトンの一種)などがエサとして取り込み、そのオキアミをまたエサとする中型、大型の魚類や海洋ほ乳類に取り込むことで成長をしていきます。
この食物連鎖の中で、一部ヒトに生食で食べられる魚類(イカやサバ)にも取り込まれ、そこに寄生したものが人間の体内に入ってきます。
アニサキスが入るとどうなる?
アニサキスはヒトの体内に入ると、胃や腸の内側から噛みついたり突き刺さったりして、激痛や吐き気を引き起こします。
また人によってはアレルギー症状を引き起こし、最悪の場合アナフィラキシーショックを発症することもあります。
潜伏期間
アニサキスが体内に侵入した場合、噛みつく部位にもよりますが、胃では2~4時間程度、腸まで達する場合は数日後に発症することもあるそうです。
割合
日本は古くから魚を生で食べる習慣があるため、アニサキスの寄生するリスクは他と比べて比較的高い国と考えられます。
年間で2,000~3,000人程度の被害者が出るそうですが、近年は増加傾向にあるようです。
正露丸の有効成分
さて、次に正露丸の有効成分を見ていきましょう。
正露丸は主に食あたりや下痢に効くというお薬で古くから利用されています。
日本に入ってきたのは1839年だそうですが、商品名が正露丸となったのは1902年(ただし当時は違う当て字が使用されていた)とのことです。
この正露丸、発売元により若干の組成が異なってきますが、メインとなる主薬は以下の通りです。
- 木クレオソート
- オウバク
- カンゾウ
- 陳皮末
- ケイヒ
このうち木クレオソートが、最も重要な有効成分となります。
木クレオソートとは
元々ブナの木を炭化させる際に出る木タール、これを蒸留生成したものが木クレオソートです。
同じクレオソートでも、防腐剤として使用される石炭クレオソートというものがありますが、まったくの別物であり、安全性の面から大きくその特徴が異なってきます。
この木クレオソートは殺菌作用にすぐれ、食中毒の際に古くから利用されてきました。
実験データ
ここである実験データを紹介します。
正露丸の発売元である大幸薬品が以下のような研究を実施されているそうです。
正露丸1粒を、5mL、10mL、20mLの水で溶解させる。
この溶解液にアニサキスを入れ、活動状況を観察する。
指標として、正露丸の含まない水でも同様の観察をします。
その結果は以下の通りでした。
溶解液 | 活動停止時間 |
指標(水のみ) | 1時間以上動き続ける |
20mLに溶解 | 26分25秒 |
10mLに溶解 | 4分6秒 |
5mLに溶解 | 3分3秒 |
この結果から、濃度依存的にアニサキスの活動停止時間に明らかな短縮が見られたことが分かります。
つまり、科学的な検証からも、アニサキスの活動停止に効果があることは明らかなようです。
用法と特許
用法
ではアニサキスに寄生された場合、どのくらいの量を服用すれば良いのでしょうか?
大幸製薬の情報によりますと、重症度にもよりますがアニサキス症患者に対して1日当たり2~25mgの摂取すれば十分とのことです。
正露丸の1日最大服用量は9粒、これで木クレオソートが400mg摂取できるそうです。
1回の服用に3粒飲むというのが、通常の飲み方ですが、3粒で133mgの木クレオソートが摂取できることになります。
これは、アニサキス症患者に効果が認められる量を裕に上回っていますので、1回の服用(3粒)で十分効果が得られるということが分かります。
特許
アニサキス症に対する、この木クレオソートの活用方法は、大幸薬品から2010年に特許が出願されています。
その事からも、効果があることは明らかといっていいでしょう。
将来正露丸の効能効果に、アニサキス症が追記されることもそう遠くはないのかもしれません。
まとめ
今回はアニサキス症に対する正露丸の効果について、調査いたしました。
近年増えてきているアニサキス症。
魚の生食が好きな方は、是非正露丸を常備し、いざというときにすぐ対処できるようにしておきましょう。
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