実は知らないアルツハイマー型認知症による死亡のリスク!進行の速度や発症からの期間は?


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先日、朝丘雪路さんが亡くなりました。

アルツハイマー型認知症が原因で…と夫である津川雅彦さんが記者会見で語っていましたが、疑問が浮かぶのは「認知症で死ぬのか?」という点だと思います。

会見の中では、「体調に関して朝まで普通であったのに急変した」という件にも触れていますが、これは「朝まで会話できていた」という訳ではありません。

アルツハイマー型認知症の末期症状にあると話すことや動くことができなくなります。

そのような介護が必要な状態ですので、食事が摂れないなどのほんの少しの変化が体に大きな負担をかけ、死につながることがあります。

会見によると、前日には水だけしか飲まず、当日の朝は体調に変わりなかったけども夕方に急変したとのこと。

今回は、津川雅彦さんが詳しい病状の説明を控えているので、どのような経過をたどって、「アルツハイマー型認知症」で亡くなったのか、を一般論で解説していきます。

そもそも認知症とは?老人の物忘れとは違うの?

まずは認知症という病気について簡単におさえていきますね。

認知症とは、一旦正常に発達した記憶や学習、判断などの能力が、脳の機能的な異常により、低下して生活をしづらくする病気です

かつては「痴呆」と呼ばれていましたが、老人性の物忘れと分断し、偏見をなくすために「認知症」という名称へ変わりました。

認知症の特徴でもあり、老人性の物忘れとの大きな違いは、体験した出来事に対し、一部を忘れるか、すべてを忘れるか、の点です。

例を挙げると、「今日のお昼ご飯は何を食べたのか?」であれば老人性の物忘れであり、昼食後に「昼ご飯を食べていない」と言い出すのが認知症です。

この認知症という病気は進行性で、元に戻ることはなく、現代医療では根治療法はありません

そして、認知症にも原因に何種類かあり、その中の一つが今回話題のアルツハイマー型認知症となります。

アルツハイマー型認知症で死ぬ?症状や死亡リスクとは?

朝丘雪路さんの報道で、多くの方と同様、自分も「ん?」と思ったのが、アルツハイマー型認知症と、死の関係性です。

アルツハイマー型認知症で死ぬって…記憶障害とかでは死なないでしょ、という視点のみでは勿論、死には直結しません。

しかし、アルツハイマー型認知症の症状により、肺炎症状や栄養状態の低下などが引き起こされ死に至るという、“原因”として考えると、死へつながる病気となるのです。

アルツハイマー型認知症が他の種類の認知症と異なる特徴として、【記憶障害】が主に挙げられ、その症状の進行は緩やかであると言われています。

その緩やかな進行の中で、脳の中の組織は異常なものへと変わり、本来の脳みその大きさと比べ、明らかに小さくなる程に縮こまり、内部はスカスカになります。

そのような変化が起きるので、以下のような記憶の障害や時間・場所・人の認識ができなくなるという経過をたどるのです。

  • 初期:近い記憶の障害、朝昼晩や季節感などの時がわからなくなる
  • 中期:何年か前の記憶の障害、今いる場所がわからなくなる
  • 末期:なじみの場所や人物、排泄感覚がわからず、筋肉が固まり動きづらくなる

以上に挙げた段階をたどりますが、認知症患者の多くは、初期よりもっと早い(年単位で前)時期にすでに病気を自覚しているケースが多いそうです。

そして、死に至るリスクについてですが、末期になるとリスクはぐっと上がって、寝たきり状態となることで、以下のような問題が死亡の原因となります。

床ずれ(褥そう)

動かない+低栄養で皮膚が傷つき感染症になると血液を介して全身に感染が広がって死に至ることがあります。

誤嚥性肺炎

食べ物を正しく呑み込めなくなり、気管に落ちた食べ物カスにより肺の中で炎症を引き起こし、呼吸困難や大量の痰により窒息することがあります。

低栄養

食べる筋肉が低下し、食べ物の認識も難しくなるので胃ろうという選択をしなければ、栄養を十分に摂れず脳、心臓などの内臓機能の低下に至ります。

このほかにもありますが、感染症に至ると体の抵抗性が弱まっている末期では回復しにくく死に至るリスクが高いのです。

治療薬はないの?発症から死亡に至るまでの期間は?

先ほど、超初期段階があると述べましたが、朝丘雪路さんも、もしかしたら、テレビや歌手のお仕事をしている時点から自分の状態に気づき、焦りの中にいたのかもしれません。

津川雅彦さんが好きな朝丘雪路さんは、“妻”や“母”ではなく“女優”だったそうですが、認知症を患っても何とか自分らしさを失わないように、病と闘う姿に、女優としての生き様を見たのかもしれませんね。

きっと、朝丘雪路さんにとって“女優”は生きがいであったと思いますが、その生きがいこそが、認知症の進行を遅らせるカギともなります

逆に言えば、生きがいを家族や周囲の人に取り上げられたら、進行は早まり、あっという間に末期に至るでしょう。

そして、はじめに認知症を治すことはできないと述べましたが、進行を遅らせる薬はあります。

貼り薬や飲み薬といった形状で、脳内の情報伝達を補ってくれるものや、精神的に不安定になりやすい場合は向精神薬も処方されます。

しかし薬だけでは進行を遅らせることは困難です。

認知症患者の生きがいを大切にし、本人が困らないような環境作りをし、その人らしい生活を送ってもらうことが、病気の進行を遅らせる最善策となるのです。

そうして遅らせることができても、アルツハイマー型認知症の多くの方の経過は、発症後の年数でみると以下のようになります。

  • 初期:1~3年
  • 中期:2~10年
  • 末期:8~12年

かなりばらつきがありますが、平均で発症から5~9年で亡くなる方が多いそうです。

認知症の人の平均年齢は80歳で、最年少は10歳代でもいますし、最高齢は100歳代のかたもいます。

発症年齢が65歳以下の若年性アルツハイマー型認知症は、過去に渡辺謙主演の映画でも話題になりましたが、10代の患者がいるのは驚きですね。

おわりに

アルツハイマー型認知症について、症状や進行を遅らせる方法など、ご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

この病気は、死に直結するわけではなく、末期になると寝たきりになり、死の原因となる状態を引き起こすのです。

認知症となった方がどのようにその人らしく死の瞬間を迎えられるか、周囲の環境がカギとなります。

朝丘雪路さんはご家族の元で、長い介護生活の末に亡くなりましたが、闘病生活の苦しい中でも確かに愛があったのだと、会見での津川雅彦さんの様子から伺えます。

だれにでもあり得る認知症の方との出会いがあった時、今回の記事が少しでも役に立ちますように…