結核は治るのか?その確率や期間はどのくらい?

最近咳がひどい。

風邪だと思って病院を受診したら結核といわれた。

そんな不安を抱えているアナタへ、治るのか?その確率や期間などについてまとめました。




治るのか?

以前は”不治の病”として知られていた結核。

現代の医療では治すことができるのでしょうか?

結論から言うと、治療により十分治すことができる病気となりました。

この病気で亡くなる方もいらっしゃいますが、完治される方も多く、不治ではない病気となっています。

患者数と死亡率

厚生労働省による最新の統計を紹介します。

平成28年、国内で結核と診断された方は17,625人に上ります。

上のグラフを見ると、傾向は緩やかになってきていますが、減少傾向になっていることが分かります。

また平成28年で結核が原因で亡くなられた方は1,889人だったそうです。

死亡率は1.5と集計されています。

この数字は、健常者含めた人口10万人に対する死亡者数を表しています。

結核を発症した患者数に対する死亡者数で考えると、約10%。

つまり、90%の方が結核を発症しても治療により回復しているということになります。

感染から発症まで

結核が発症するまでの流れを説明します。

感染

感染は結核菌という微生物により発生します。

この結核菌は、保菌者が咳をすることで空気中にまき散らされ、その後水分を失うことで待機中をふわふわと滞留します。

この菌が人の口から直接入り、肺に届くことで感染となります。

滞留している結核菌、空気中を1~2時間滞留するとその90%が死滅するそうです。

但し、研究の結果として一部は24時間生き残る菌もいるそう。

しかもこれは菌単独で存在する場合のこと。

土壌中や虫の死骸等に付着している場合はもっと長く生存することもあるそうです。

感染菌の中でも特に生命力の強い部類に入る菌だと言えます。

このことにより、喚起の悪い空間や人が密集している場所、不衛生な場所などに滞在することで感染のリスクが非常に高い病気だということが分かります。

発症

結核は、感染=即発症というものではありません。

肺に感染した後に増殖するのですが、免疫力が高い人に感染した場合、そのまま沈静化して死滅したり、冬眠状態に入り長い間活動を停止したりします。

これが免疫力の弱い人に感染した場合は、体内で冬眠状態である菌を保有する方が何らかのきっかけで免疫力を一時的に落としてしまった場合、発症することになります。

感染者のうち発症者は大体15%程度だと言われています。

発見の遅れ

この結核、実は発見が遅れることで治療に苦労される方が多いようです。

結核の初期症状は風邪とほぼ同じようなもの。

その為、患者は「どうせ風邪だから市販薬でも飲んでいれば」と油断して病院に行くこと自体が遅れます。

また病院に言った場合でも、風邪に比べて非常に発生率が低い病気の為、症状次第で「単なる風邪」と誤診されることも良くあるそうです。

こういう期間を経て、”咳をしていて吐血した”など重症化して、初めて結核だと分かるという方もいます。

こうなってしまった場合、肺の中の菌の増殖は当然かなり多くなってしまっているので、治療に時間も労力もかかることになります。




治療方法

現代での結核の治療はほぼ薬物療法です。

以下の4種類の薬物を一定期間投薬することがガイドラインで決められています。

  • リファンピシン
  • イソニアジド
  • ピラジナミド
  • ストレプトマイシン

症状や患者の状態に応じて、ストレプトマイシンをエタンブトールという薬に変えることもあるそうです。

これらは結核菌を殺菌する作用を持つ薬物であり、結核の治療を可能としたものなのですが、副作用の発生も問題視されてします。

まず殺菌する際に発熱(40度以上になる場合も)を伴うそうです

それ以外にも、肝機能障害、腎障害、眼科分野の障害などが頻発することも言われています。

その為、患者の状態により検査をしたり他の薬を併用しながら投薬をつづける必要があります。

根絶が大切

更に、この投薬は症状が緩和されたら止めて良い、というものではありません。

症状が緩和されても肺の中に弱った、または沈静化した菌が残っています。

この状態で投薬をやめてしまうとこれら菌の一部に薬への耐性を獲得するような変異を起こす可能性があります。

そうなると、そのあとの治療も困難となってしまうのです。

その為、投薬は症状の緩和ではなく、菌の根絶を目標として継続する必要があります。

なお、現在では通常6~9か月程度服薬を継続することになります。

集団感染の脅威

ニュース等で結核の集団感染というのを目にした方もいらっしゃるかもしれません。

どのくらいの頻度で集団感染が起こるのかを調べてみました。

ここでいう集団感染とは、1つの感染源で2家族以上、20人以上感染した状態のことを言います。

グラフを見る限り、明確な傾向は認められず、医療・衛生面が進歩している現代でも発症率や感染件数自体は大きく変化がないようです。

「結核は昔の病気」と軽く考えず、現代でも同じように発生している病気であると言えます。




まとめ

今回は結核に関して、治るのか?その確率や治療期間は?という疑問について調べてみました。

現代では不治の病ではない結核。

しかしながら発生自体はまだまだ十分にあり、集団感染も毎年必ず発生しています。

部屋の喚起、マスクの着用など予防を徹底して、感染のリスクを少しでも減らしましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。